三菱化学 鹿島事業所

安全かつ効率的なプラント・オペレーションを目指して

service_case4_400x288-1-1新興国との国際競争が激化する今日、安全性・生産性の向上はもとより、プラントの効率化が求められています。例えば、老朽化が進む国内プラントにおいて、現場の保全業務は増加傾向にあり、制御機器の複雑化で業務難易度が上昇する一方、スキルのある技術者の退職・世代交代による人材不足も大きな問題となりつつあります。
限られたリソースで安全かつ最適なオペレーションを行うにはどうすれば良いか、各社様々な取り組みが行われています。

総合化学メーカーである三菱化学株式会社の鹿島事業所は、日本有数の石油コンビナートである鹿島コンビナートに位置し、ナフサを原料とする石油化学製品を生産しています。ここではこれまで長年使用してきた分析器(プロセス・ガス・クロマトグラフ)を最新化することになりました。しかし、分析器の交換にあたり、分析システムの前処理工程であるサンプル・コンディショニング・システムにいくつか気になる点がありました。例えば、その一つがフィルターの閉塞です。フィルターの目詰まりが分析器の故障、応答不良など不具合の原因となっており、毎月の度重なるフィルター・メンテナンスに悩まされていたのです。多くの部品で構成されている分析システムは、その仕様が標準化されておらず、操作も一様ではありません。特定の担当者しか操作できない機器や部品もあるため、数名の専門員がプラントの100台以上の分析システムを管理し、それにかかる労力は多大なものでした。そしてこれらは、分析器を最新化しただけでは、解決できない問題でした。そのため、分析器の交換を機に、サンプル輸送ライン、サンプル・コンディショニング・システムを含む分析システム全体の改善・改良を検討することになったのです。

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三菱化学株式会社が検討したのはSwagelok® PrESSの一つ、ファスト・ループ・モジュール(FLM)でした。当時を振り返り、鹿島事業所 設備技術部 計装グループ 川又正明氏は言っています。「サンプル・コンディショニング・システムを含む分析システムの更新にあたって、保全部で部品選定から設計、組み立てまで行うのは大変な労力ですし、工事品質にも気を配らなければなりませんでした。
しかし、プロセス分析用に特別に開発されたSwagelok PrESSであれば、品質はもちろん、必要な機能が完備している上に、スウェージロックで事前に組み立てられたサブシステムをこちらのシステムに組み込むだけだったので、時間や労力が大幅に削減できました。またニーズに合わせたカスタマイズが可能だった点も良かったと思います。分析器メーカーにとらわれない、最適な前処理システムを構築できました。」

service_case4_400x288-3三菱化学鹿島事業所では石油化学の構造改革によってさらに競争力の高い事業所を目指しており、システムの見直しにより、高い水準の安全性と効率性を実現できることも重要な点でした。同グループ グループマネジャーの青山貴征氏は今回の導入をこう評価しています。
「サンプル・ラインの最適化がガス・クロマトグラフの分析性能の信頼性向上に寄与しているのは当然のことながら、分析システムで一番手間がかかるサンプル・コンディショニング・システム、サンプル輸送ラインを標準化・共通化できたのは大きな前進でした。一貫した操作で、現場の保全作業を安全でシンプルなものへと画一化することができ、誰もが安全かつ効率的に点検・検査できる基盤が整いました。
また、課題の一つだったフィルターの閉塞もFLM内の自己洗浄機能で、目詰まりも低減し、毎月必要だった交換が目覚ましく改善されたのです。もっと大きな成果はこれからですが、今後が楽しみです」。
また、「計装におけるリーディング・カンパニーを目指し、今後も革新的な取り組みを積極的に行い、鹿島から様々な情報を発信していきたいと思っています」と語る同氏。安全かつ効率的なプラント・オペレーションに向けて、鹿島事業所の取り組みは続きます。