株式会社JALエアテック

JALエアテックの安全・安心の取り組みを支える
スウェージロックのエンジニアリング・サービス

JALエアテック

株式会社JALエアテックはJALのグループ会社として、航空関連設備の整備・点検・修理事業を通じて、航空機の安全運航および円滑な空港運営の一翼を担うべく「安全・安心の追究」に取り組んでいます。そうした中で、スウェージロックの製品やエンジニアリング・サービスがどのように貢献したのか、また今後の挑戦について株式会社JALエアテックの吉戒大輔氏に話を伺いました。

株式会社JALエアテック 高圧ガス事業部の事業内容について教えてください。

吉戒氏

当事業部は主に、安全・安心な運航を陰から支える「安全の最後の砦」、つまり航空機に搭載されている酸素ボトル、緊急脱出用スライドに使う窒素ボトル、航空機エンジンのトラブルなどに使用する消火器ボトルの整備などを行っています。JALをはじめとする国内外の航空会社さまのほか、船舶関連の企業さまともお取引しています。
そのほか、標準ガスを充填したボトルを航空機に搭載して「航空機による大気観測プロジェクト」を気象庁気象研究所と共同で行い、温室効果ガスの分布と濃度の変動観測を行っています。JALグループで地球環境保護に貢献しています。

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現在、貴事業部が注力されている「安全・安心の追究」の取り組みをお聞かせください。

言うまでもなく高圧ガスの取り扱いには十分な注意が必要です。例えばヒヤリハットが発生した時は、グループに分かれて対応策をディスカッションして再発防止に努めているほか、ヒヤリハットの前段階として「にくい」、「やすい」といったキーワードに該当するもの、例えば「ドアが閉まりにくい」「エラーが起こりやすい」といった事例があれば、全部リスト化してその改善案を詰めていきます。そうした情報を全社で共有することも、トラブルの未然防止活動のひとつです。高圧ガス事業部設備
安全に関するガイドラインについては、おそらくJALエアテック内でも一番積極的に安全管理をしていかなければいけない高圧ガス事業部が一番厳しいルールを適用しています。会社の規定に加えて、高圧ガス事業部だけに適用される国土交通省認定事業場としての業務規程および安全管理規定などが存在します。J
ALエアテック社内では、さまざまな安全対策に対して表彰制度があり、高圧ガス事業部は最近、“リスク・レベル2以上の不具合発生なし「1000日」以上継続”を達成して表彰されました。

舶用高圧ガス・ボトル設備の開発経緯について教えてください。

高圧ガス充填装置_背景なし船舶に搭載しているいかだ用ボトルの整備を請け負った際、そのボトルに炭酸ガスを充填する工程が、従来の当社の設備では対応が容易ではありませんでした。そこでスウェージロックのエンジリアリング・サービスを利用して、仕様の段階から相談に乗っていただくことにしました。
具体的には、既存の炭酸ガス充填装置を船舶充填用に改造するにあたり、圧力を上げて容量を大きくする必要がありました。カイゼンいいね賞そこでスウェージロックのフィールド・エンジニアの方に、大まかな要望をベースに、細かいところまでコンサルティングしてもらい、何回も打ち合わせを重ねた結果、完全にイメージ通りの装置を納品してもらいました。充填時間の短縮も含め作業効率が向上したうえ、移動式システムにて作業スペースの有効活用にもなっています。船舶用として製作した装置ですが、その他の受託ガス充填にも活用でき助かっています。
本装置を使用した船舶用高圧ガス・ボトル設備については、2022年のJAL整備グループのカイゼン活動発表大会において、参加者による投票で最多得票となり、表彰を受けることもできました。

スウェージロックのエンジニアリング・サービスを利用された理由を教えてください。

スウェージロックとは30年以上前からお付き合いしていますので、厚い信頼と実績があったことが一番大きいと思います。中でも航空機のタイヤにガスを充填するための部品を昔から定期的にサポートしてもらっていて、その流れから航空機のタイヤの充填設備の製作を依頼したのが、組み立て納品の最初のケースになりました。そして、そのような実績の積み重ねから、今回の依頼に至りました。

このほかにスウェージロックのエンジニアリング・サービスを活用した事例があればお聞かせください。

パイロット用の酸素分析計装置の製作も、スウェージロックの持つ経験値を活用した案件です。スウェージロック製品は、サンプリングのほか、化学成分を分析するところで利用されることが多いイメージでしたが、実際に化学メーカーの分析装置を手掛けた実績が多数あるフィールド・エンジニアに担当してもらい、さまざまな知見を活かしたサポートをしてもらいました。
酸素分析計装置 パイロット用の酸素ボトルの充填作業は1日に何回も行いますので、そのたびに酸素の分析作業を外部に委託するのは煩雑です。そこで自社内で分析作業をできないかなと考え、スウェージロックに相談しました。この分析装置は、一番大事な酸素濃度計の仕様が変更されたことに加え、数値の基準についても結構厳しい条件が課せられていました。そうした基準に合うものを作るには分析装置についてのノウハウが必要で、どのような装置を作れば求められる数値が出るのかということをスウェージロックのエンジニアの方に相談しつつ進めました。
私たちは分析が主な仕事ではないので、分析に詳しい人間が常にいる環境でもありません。そうした中で、作業者が複雑な手順を踏まなくても分析できるというのがポイントだったので、そこを相談させてもらいました。分析の仕方をはじめ、濃度計と露点計の選定アドバイス、正しい分析のために必要な溜まりやクロス・コンタミネーションが少ない前処理など、さまざまなインプットもいただきました。

今後の課題、そしてスウェージロックに期待することがありましたらお聞かせください。

課題として挙げられるのは、やはりヒューマン・エラーではないかと思います。そこは私たちの安全推進会議でも永遠の課題でもあります。例えば帳票のエクセル入力ひとつをとっても、コピーするだけの作業でも古いデータを入れてしまうという単純なエラーが起こってしまうことがあります。マネジメントとしても、そういう改善や時間短縮に投資をする意欲はありますが、実際には作業的に自動化が難しいという問題もあります。
今後、そうしたヒューマン・エラーを解決する自動化や時間短縮のための取り組みについても、スウェージロックのエンジニアリング・サービスで解決策が生み出せることを期待しています。